T中
今日は私が日常生活の中で拘りを発揮し、似たような意味だけどあえて使い分けている言葉集を紹介しようと思います。
M子
ふむ。T中君が使い分けている言葉集か。ちょっと楽しみだな。知りたい。
T中
では気になっている貴方に早速その1。
1.作業 or 仕事
M子
む? 「作業」と「仕事」か。そこ使い分ける必要があるのか。
T中
普通の人は意識しないでしょう。しかし私の中の使い分けの定義はこうです。
「作業」=誰かに指示された内容をその通りに行うこと。転じて言えば、指示通りに動いていれば完遂できる程度の業務。
「仕事」=誰かに指示された内容を、創意工夫を凝らし、相手の期待以上の成果をあげるという前提で行うこと。転じて言えば、熱意や技術がなければ完遂できない業務。
M子
なるほどな。君は「仕事」という言葉に対して誇りを持っているわけだ。指示通りにやっていれば終わるような業務は「仕事」ではなく「作業」であると。
T中
いえ、逆ですね。私が持っているのは「誇り」ではなく「負い目や引け目」です。私は大学を出たにも拘わらず正社員にならず、「仕事」をする人間にはなれなかったのだと。
M子
・・・つー。そっちタイプか。そういう人もいるよな。大学時代の企業説明会で見た華々しい企業達と、今自分のいる会社を見比べて、センチな気分になっちまうんだよな。
T中
自分で選んだ道なのでセンチな気分ってわけでもないです。ただ、大学に通わせてくれた両親や、派遣という低賃金に嫌気をさして離れていった元嫁に対して、生涯消えることのない負い目と引け目を感じているというだけです。
M子
重い! ひたすら内容が重い! 生涯消えることのない負い目と引け目とか言わないで!
T中
で、正月に実家に帰省した際など、私は家族とこういう会話を繰り広げます。
T中の母親
T中。アンタいつから仕事?
T中
え? 仕事? 私ほとんど仕事はしてないよ?
T中の母親
な! 貴方また仕事を辞めたのね!? 何回転職する気!?
T中
違うよお母さん。転職なんてしてないよ。ただ、私がやっているのは「作業」であって「仕事」ではないというだけだよ。
T中の母親
そ、そう・・・働いてるならそれでいいのよ。難しいこと考えないでね。
M子
なんて面倒な人間なんだ君は! 一般的に「仕事」っていうのは働いてお金を得る行為全般を指すんだよ! 家族と話すときは拘らなくてもいいんだよ!
T中
私の中では大事なんです。私が普段行っている業務の99%が「作業」なんです。「仕事」している瞬間なんてありません。国立大卒なのに、結婚もしてたのに、ハハハ。乾いた笑いが無限に出てきます。ハハハ。ハハハ。
M子
拘りが強い! もう大学のことも結婚のことも忘れていいから気楽に生きろ!
T中
私は過去と共に生きる。何事も決して忘れることはありません。そういう人間です。
M子
えーこの時点で既に大変重苦しい雰囲気が出ておりますが、今回の記事はこの調子で進むようでーす。更にT中君の拘りが知りたい人は「続きを読む」をクリックしてくださーい。
T中
続いて私が拘っている言葉集2個め。
2.社会人 or 労働者
M子
う、うん? 「社会人」と「労働者」って、だいぶ意味合いが違うし混同することないと思うけど。一般的に言えば、「社会人」は働いて自立している人、「労働者」は政治や経済など社会全体を俯瞰して語る時に、働いて賃金を貰っている身分の人を指す、といった所ではないだろうか。あまり日常生活で「労働者」という言葉を使うことはない気がするが。
T中
私の中での使い分けはこうです。
「社会人」=既存の社会構造を精神的に受容し、既存の社会構造の中で自立した生活を営むことに成功している人間。
「労働者」=既存の社会構造を精神的に受容せず、いずれ来る革命の時に備えて、既存の社会構造の最底辺で最低限の生活を営む美しき存在。
M子
今度は思想が強い! もう思想なのよそれは! 簡単に思想をひけらかしちゃダメなのよ!
T中
そうですかね。思想強いですかね。
M子
思想強い! 普通の人は革命とか考えない! 君は変な拘りを捨ててもっと楽しく生きろ!
T中
え? 楽しく生きてますよ? 労働者として。次の世界の指導者となるべく、今は徳を積んでいます。金ではなく、徳をね。
M子
怖い! 次世代のモンスターが生まれようとしている! 誰かこの人を止めてくれ!
T中
金ではなく、徳をね。
M子
そこ強調しなくていいから! 資本主義に批判メッセージ送らなくてもいいから!
T中
で、新世代のモンスターは親戚に会うたびにこういう会話をしています。
親戚のおばちゃん
久しぶりね~。T中ちゃんはもう社会人になったのよね?
T中
いえ、社会人ではありませんけど。
親戚のおばちゃん
え? まだ大学生だったかしら?
T中
しがない労働者になったんですよ。私、この社会を認めているわけではありませんから。
親戚のおばちゃん
え、ええ。
M子
親戚相手に思想をひけらかさないの! おばちゃんが困ってるでしょ! 革命思想は心の内にしまっておきなさい!
T中
まあまあまあ、私はあまり自分を「社会人」と言いたたくないんですよ。社会人って言えるほど社会に貢献してませんし。会社では毎日「作業」してるだけですし。おすし。
M子
解った。君のそういう反資本主義的な思想は解ったから。次は気楽に聞ける奴を頼む。思想薄めでな。
T中
はーい。次は思想薄めな奴いきまーす。
3.夢を追う or 幼い頃抱いた妄想に執着する
M子
切ないわ! この2つのワードが並んでる時点で大体君の言いたいことが解るわ!
T中
一応言っておきますと、私の中での使い分けはこうです。
「夢を追う」=第三者の視点から見て応援したくなるような、若者が目標に向かって努力している華々しい状態。
「幼い頃抱いた妄想に執着する」=第三者から見ても「もうそろそろいい加減にしといたら・・・?」と言いたくなるような、当人も将来に不安を感じながら、無謀な目標に向かって未だに努力している状態。
M子
はい切ない! 次のワード行こう! もっと軽い奴にしよう!
T中
一応使用例を載せておきます。例えば職場の飲み会なんかでこんな会話をします。
職場で仲のいい人
T中ちゃんは有名ブロガーになる夢を追いかけてるのよねー。
T中
ははは。そうですね、私のブログみんなに読んでもらいたいすね。でも別にこれは夢を追ってるわけじゃありませんよ。
職場で仲のいい人
え? どうして? いい夢じゃない。
T中
これは夢ではなく、幼い頃抱いた妄想に執着しているだけなんです。だから、ホントはこんな妄想を抱いているべきではないんです。抱いたまま溺死しちゃいますから・・・。
職場で仲のいい人
う、うん。
M子
・・・空気がいたたまれない。次のワードに行こう。もっと軽いワードでな。
T中
では軽さを求める貴方にはコチラ。
4.素直 or 愚直
M子
おや。これは、少し解る気がするな。素直と愚直は違うしな。「素直」は単に純真なさま。「愚直」と言うと、その純真さが「愚かしい」と思われるほどのさまを指す、といったところだが。
T中
私の中の使い分けはこうです。
「素直」=その道の先が強大な闇であるとは知らず、女子供のように目の前の物事を信じ込むこと。
「愚直」=その道の先が強大な闇であると知ってなお、己自身が闇を切り裂く光となることを信じて、目の前の物事を信じること。
M子
ううん! なんか言わんとすることは解るけれども! 闇とか光とか使わないと説明できないのかな!
T中
光しか知らない状態が「素直」。光と闇の両方を知ってなお、勝率1割の「光」の方が正しいと自らに信じ込ませている状態が「愚直」です。
M子
言わんとすることは解る! だが説明が中二病的過ぎて受け入れがたい!
T中
よって私は、通っているボクシングジムの会長とこういう会話を繰り広げています。
ボクシングジムの会長
おーう、T中! お前上手くなったなー!
T中
ははは、ありがとうございます。
ボクシングジムの会長
お前みたいに会長の言うことを「素直」に聞いて練習する奴が一番上達が早いぞ!
T中
「素直」? 違いますよ。私はただ「愚直」なだけです。
ボクシングジムの会長
ん? ぐ、ぐちょく?
T中
この拳に闇を切り裂く力があると、今はそう信じるしかないんです。
ボクシングジムの会長
お、おう・・・。
M子
ただの痛い奴になっとる! 会長が困っとる!
T中
私の中では大事な使い分けなのです。闇を知った私はもう、決して「素直」になることはできません。
M子
解った。解ったから、もっとこう、次は日常的に使える奴で頼む。このブログを読んでいる人が、明日から使ってみよーっと思えるようなフレーズをだな。
T中
解りました。こんなのはどうですか。
5.このアニメ面白い! or このアニメが面白いということを私は理解できる!
M子
・・・ちょっと何言ってるのかよく解らないです。
T中
私の中での使い分けはこうです。
「このアニメ面白い」=私自身の直感でこのアニメの内容に感激している。
「このアニメが面白いということを私は理解できる」=このアニメが想定している視聴者層の気持ちになりきって見た時、疑似的な興奮を想起できる。
M子
言わんとすることは解った。だが素直に面白かったと言え。そのアニメが想定する視聴者層になりきって興奮したのなら、それはもう君自身が面白いと感じているのと同じことだ。だから素直になって「面白い」と言えばよくってだな。
T中
嫌です。私はそう簡単に面白いとは言いません。
M子
なぜ素直にならない。
T中
――私は愚直にしかなれないからです。
M子
ぐっ。ここで伏線回収してくるのか。さすがだな。
T中
新世界の指導者は素直な社会人ではなく愚直な労働者です。革命が起こった暁には、私はついぞ幼い頃抱いた妄想を実現させ人々を導いてみせます。大衆の義務は日々「作業」に勤しむことのみ。神から選ばれた者のみが「仕事」をすればよいのだ・・・。
M子
思想はひけらかさない! そっちの伏線は回収しなくてよい!
T中
というわけで、私は職場の同僚とこういう会話を繰り広げます。
職場の同僚
『SPY×FAMILY』見た!? めっちゃ面白くない!? アーニャ可愛い~!
T中
見ましたよ。興味深い内容でした。
職場の同僚
何話まで見た!?
T中
2話までです。
職場の同僚
なんで全部見ないの! 面白いって思ったんでしょ!?
T中
いえ、面白いということが理解できただけで、私自身が面白いと思ったわけじゃないので。
職場の同僚
う、うん・・・。
M子
君はややこしい奴だ! そんなことを続けていると友達が離れていくぞ!
T中
使い分けないと気が済まなくて。だって、私自身が面白いと思うアニメってほとんどないし。最近は『ぼっち・ざ・ろっく!』くらい。
M子
はぁ・・・。まあ『ぼっち・ざ・ろっく!』面白いしな。それで、まだまだあるのか? 君の拘り言葉集は。
T中
では次で最後にしましょう。
6.文章を書く or 文章を完結させる
M子
む。これは今までとは一風変わったな。単純に「書く」のと「完結させる」のは違うと。
T中
私の使い分けはこうです。
「文章を書く」=文字を起こし意味が通じるような状態にする。
「文章を完結させる」=文章を書いた結果出来上がる意味の連なりが、最終的に筆者の責任となって第三者に提示できる状態にする。
M子
なるほどな。これは解るぞ。第三者に見せるからには、胸を張ってその文章が自分自身が書いたと主張できる状態でなければならない。
T中
転じて言えば、なにかの文章を読んだとき、そこに筆者の主張やメッセージ、また読んだ側にどういう感情にさせたいか、それが伝わってくる時、その文章は完結されているということなのです。
M子
ということは、今からT中君と私はこういう会話を繰り広げるわけだ。
T中
ええやってみましょうか。
T中
ところで皆さんに聞きたいんですが、このブログって面白いんですかね? 結構色んな記事を書いてみて、自分ではそこそこ読める内容になってると思うんですが。
M子
そうだな、面白いと思うかどうかは人それぞれだが、面白いということは理解できるんじゃないか。
T中
つまりそれは?
M子
このブログの記事には完結された文章が掲載されているということだ。
M子
ふう、綺麗にしまったな。今日の記事はこのくらいにしておくか。
T中
そうですね。では皆様これにて『【闇深】日常生活の中で私が拘って使い分けている言葉集』は終了です。さよなら、さよならー。
M子
さよならー。T中君は気楽に生きろー。
T中
では、私は来る革命のときに備えて演説の練習をしてきます。
M子
思想はもういいよ! 革命なんて永遠にやってこないよ!
おしまい
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