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短歌四コマ「文士の谷底」

T中
こんにちは、短歌四コマのお時間です。さて今回の短歌は今までと趣向を変えて、日常のワンシーンを詠んだ歌ではなく、少し内容が難しい尖った短歌となっております。短歌監修の文士M子先生よろしくお願いします。

M子
文士M子です。よろしくお願いします。早速、ですが今回の短歌はこちら。


その比喩に

意味なし話を

進めるべし

文士が落ちる

魅惑の谷底


M子
さて、冒頭でT中君はこの短歌を内容が難しい尖った短歌と紹介してくれたましたが、それは間違いです。この短歌は難しくありませんし、尖ってもいません。

T中
はあ、そうなんでしょうか。ぱっと見では意味が捉えきれないんですけど。

M子
私が説明しますよ。私の説明を聞けば、これが皆さんの身近にある感情を詠んだ日常短歌だと解ってもらえるはずです。

T中
はい。では説明をお願いします。文士M子先生。

M子
まず文章を書いている時に一番楽しいのって、独特の比喩表現を思いついて自分の文章に酔いしれている時じゃないですか?

T中
う、うーん? 私はあまり日常的に文章を書くことがないので解らないのですが、そういうものなんでしょうか。

M子
そういうものなんです。しかし、どんなに自分がいいと思う比喩表現で文章を書いても、48時間くらい経つと必ず酔いがさめてしまうんですよね。そこで改めて自分の文書を読み直してみると全然いい表現じゃないし、むしろ変な比喩挟んでるせいで話のテンポ悪いし、人生の谷底にいる気分になります。

T中
そんな人生の谷底だなんて。たかだか文章ですし。

M子
なあにぃ!? たかだか文章だとぅ!? 私は将来本屋大賞を取る文士M子だぞ!

T中
じゃあやっぱりこの歌は日常短歌じゃねえのよ! 普通の人は来年の本屋大賞は私だとか考えないのよ!

M子
へっへっへ。バレたか。アマチュア小説家M子の生態に迫りたい方は続きを詠むをクリック。

M子
比喩表現。それは長年文士M子を虜にしてきた魅惑のテーマである。

T中
はあ、そうだったんですか。長年M子先輩の合いの手役を務めている私も初耳です。

M子
何を言っているんだT中君。君は数年前、私と一緒にこの記事を書いただろう。

 

 

T中
こ、これは懐かしの名文紹介記事! 確かに書きましたねえ! 昔はこのブログでも謎の芸術論かましてました!

M子
そうだ。昔はこのブログで芸術論みたいなことをしていた。この記事の内容は下の一枚の画像にまとまっている。T中君が作ってくれたものだ。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/K/KbayashiZemi/20190822/20190822022842.jpg

T中
凄い! 参考文献まで書いてある! めちゃめちゃ丁寧なまとめ画像だ! たかだか一日のアクセス数5件程度のブログ記事のために作ったとは思えない!

M子
この記事を書いた当時の我々は、文字通り比喩表現という名の「魅惑の谷底」にいたのである。考察への熱量が凄いし、内容の正否はともかく、読み物としては今読んでもそこそこ面白い。会話も今よりスピーディーで切れ味あるしな。

T中
真剣に書いてましたもんね。会話テイストは意味の伝わりやすさ重視で、今より遊び心がありません。

M子
ああ。意味の厳密性重視で真剣に書いていた。それ故に主張の内容もよく覚えている。一言で言えば、この記事の主張は、象徴化と比喩を使い表現世界を媒介することで、学術書に書いてあるような専門的な理論でも日常世界の言語に繋げることが可能だということである。

T中
うーん。この記事を共に書いた身としてはバッチリその一言で理解できるんですが、何も知らない人に伝わらないかもしれません。

M子
そうか、伝わらないか。みんなこの記事を読んでくれないかな。当時はこの記事が革命を起こすと思っていたんだ。

T中
はい。ほとんど読んでもらえませんでしたよね。実際この記事の反響はあったのでしょうか。

M子
反響? 「魅惑の谷底」で一匹のカラスが鳴いただけだったよ。

T中
はは。つまり反応ゼロでしたと。物悲しい心境が伝わります。

M子
しかし、病床に現れる怪鳥に鳴かれるよりはマシであろう。病気の彼は地獄に連れ去られるのだが、魅惑の谷底にいる私はむしろその一声で全てが幻であったと気づかせてくれる。

T中
皆さん本記事は比喩表現全開でお送りしております。そこ、ブラウザ閉じないで。もっと行間を読んでイメージ力を高めて読んでください。M子先輩のセリフがイタリック体になっていれば、それは文学モードが入っているということです。

M子
さて、件の『象徴化と比喩の連携』記事が空振りに終わった後、私は元々のアマチュア小説家という名の山道に戻ったのだが……。

T中
はい。元のようにアマチュア小説家の日々を歩み始めたM子先輩は?

M子
懲りずにまたしても同じ谷底に落ちてしまう。

T中
え? 他にも尖り芸術論記事書いてたんですか?

M子
このブログの記事ではない。小説の方だ。

T中
およ。M子先輩の小説です。これは必見ですね。

M子
みんな少々長い引用になるが読んで欲しい。状況は二人の女性が、芸術が現世を超越する力を持っているか否か、というテーマで議論している。会話部分が解りやすくなるように、セリフには登場人物の名前を記載しておいた。作中の宮奈は芸術に現世超越的な力があると認める派、泉はその否定派である。

 

宮奈「ミトシ先生は、変身できると言っていました。変身すれば、昨日にも今日にも明日にも捕らわれない、どんな柵にも縛られない自由な世界に至れると」

 

 どこから出ているのかも解らない声だった。

 でも、どんな声であれ言葉になっているなら、この先輩は答えてくれる。

 だから宮奈は泉が好きだった。

 

泉「それは演劇上の一技術の話だと思います。貴方を連続性から解き放つものではありません」

 

 詰むか詰まないか、その一手を懸けた攻防が始まる。どんなに震えた声でもいいから、最後の一手だけは守り切る


宮奈「泉さんだって、魔法使いのように変身する」

泉「ただの比喩表現です。本当に魔法使いなわけがない」

宮奈「でも現実を飛び越える。魔法使いという架空が泉さんの体に顕現している」

泉「そう見えるのは、私の積み重ねに貴方の目がついてきていないだけだ。見る人が見れば、私はただの十七歳の女子高生に過ぎない」

宮奈「だからこそ、喩えるのでしょう。その身体に宿る精神がただの十七歳ではないと知らすために」

泉「だから私はただの十七歳だと言っています。貴方は比喩表現そのものに現実を超越する力があると言いたげですが、そんなことはありません。比喩表現は所詮、自転車の補助輪に過ぎない。初心者に向けて現実の様態をより解りやすく説明しているだけだ。本来は必要のない補助パーツだと気が付けば、そこに捕らわれて現実を見失うことはなくなる」

宮奈「その見失いがちな現実をどのように喩えたかに芸術の神髄は宿るのではないですか。比喩表現が自転車の補助輪だというのなら、映画監督は必要ない。作家だっていらない。現実の積み重ねだけでは到達できない境地があるから、それを何かに喩えて表現する。芸術家はみなその境地を目指しています」

 

 ――大丈夫、戦える。どれほどボロボロでも、言葉さえあるなら戦える。

『アイダシャフト』『3-24 宮奈国、本土防衛戦1『芸術の聖域。比喩表現には現実を超越する力がある』より引用。URL:https://ncode.syosetu.com/n0997ii/84/

T中
ど、どんな状況なんでしょうか。ぱっと読んだ感じでは解りません。

M子
二人は芸術の聖域をかけて論争しているんだ。軽く前後文脈を説明すると、宮奈は学校の大事な事務書類を自らの芸名(偽名)で通し、それが正当だと主張している。正当である根拠は、自分は芸術家であり芸術には現世超越の力があるから、事務書類もま芸術のために偽名を使ってもよいということ。

T中
そ、そんな! いくら芸術家思考だからって、事務書類で偽名を使っていいはずがない!

M子
そうだろう。だから、宮奈は尊敬している先輩の泉に否定されるし、宮奈自身も偽名に関しては自らの誤りを受け入れる。

T中
よかった。改心したんですね。

M子
ああ宮奈は心中で自らの行いを悔いた。ところがどっこい、泉は宮奈に対し事務書類を偽名で通すことの違法性を説くだけでなく、芸術に超越の力があることそのものを否定するんだ。

T中
な。なーるーほーどー。泉先輩は宮奈さんの個人的な失敗だけでなく、その背後に芸術家思想まで否定してしまうと。

M子
そうだ。そして宮奈は、芸術の現世超越性を守るための議論戦、つまり芸術の聖域をかけた防衛戦にうって出る。それが引用文の始まりだ。

T中
はいはい。なんとなく状況が読めてきました。それで?

M子
この議論のとっかかりとなるのが「比喩表現」でな。宮奈は何かを喩えること自体に価値があると主張する。例えば泉を魔法使いのようだと表現することは、泉の身体に魔法使いという架空が宿ることと同じなのだと。

T中
ふむふむ。少しオーバーな主張のような気もしますが、とかく宮奈さんは何かを喩えること自体に価値があると言うんですね。

M子
対して泉は、比喩表現そのものには価値がないとする。私の身体が魔法使いなわけがない。比喩表現とは自転車の補助輪のようなもので、初心者が状況を理解しやすくするための手段に過ぎない。本来は必要のないパーツだと気が付けば、比喩表現にとらわれて現実を見失うことはなくなると。

T中
言わんとすることは解ります。確かに「比喩表現」は事物を解りやすく説明するための手段とも言えますし、自転車の補助輪みたいに本来は必要のないパーツなのかも。

M子
だが宮奈も言い返す。比喩表現が自転車の補助輪だというのなら、映画監督や作家は必要ない。現実の積み重ねだけでは到達できない境地があるから、それを何かに喩えて表現する。芸術家はみなその境地を目指していると。

T中
お。おおお。スゴイ。上手く表現できないんですけど、宮奈さんの言うことも凄い解ります!

M子
じゃろう? ここから宮奈と泉は泥沼の議論に発展する。果たして、宮奈が芸術の聖域を守り切るか、泉が芸術の聖域を消し去ってしまうのか。

T中
最終的な結論はどうなるんでしょうか?

M子
知りたいかい?

T中
ええ、少し気になってきました。

M子
そうかそうかい。気になってきたかい。私の作品が気になると言ってもらえると、私も嬉しいねえ。

T中
誰が書いていても気になりますよ。だから、もったいぶらずに教えてください。

M子
そうしたい所なんだが、何分、この作品は私と私の親友による合作でね。結末を教えるには、親友の許可を取らなければならない。

T中
え? 友人との共著だったんですか?

M子
いや実際に書いているのは私一人さ。いうなればこれは精神的な共著だ。二重人格合作と言ってもいい。

T中
はあ。二重人格って。M子先輩にもう一人の自分なんていないでしょうに。

M子
いるとも。私だけでなく、この世界の皆が二重人格さ。誰しももう一人の自分を持っている。

T中
いやいませんって。普通の人は二重人格じゃありませんから。

M子
果たしてそうかな。もう一人の私の正体を知って、そう言えるかな。

T中
何をもったいぶってるんですか。二重人格なんて嘘の癖に。

M子
では伝えよう。この作品を私と共に書き上げた、もう一人の自分の正体は。それは――。

T中
それは?

M子
それは病床から私を連れ去り、この谷底に連れてきてくれた、哀れな化けガラス君だよ。

T中
……。

M子
皆の心にも存在するだろう。悪人だった自分が病に侵され病床に臥す時、途端に今までの悪行を悔い改めて善人に戻ろうとする衝動が。

T中
……。

M子
そして病気が治りかけた時に、地獄からの使いの化けガラスが現れる。だが自分を地獄に連れて行くと脅してくるその化けガラスの正体は、その実、自分が善人として生かされることに後ろめたさを感じる、他ならぬ自分自身だったのさ。

T中
……。

M子
故に、この化けガラスが連れて行く先は地獄ではない。どれほど自分を後ろめたく思っても、自分では自分を戒めることは出来ない。

T中
……。

M子
化けガラスが連れて行く先は、そこは善でも悪でもない世界、自分が自分となる前に漠然と憧れを抱いた原風景の世界さ。

T中
……。

M子
私にとってのそれが例の谷底でね。他の誰にも意味不明な空間だとしても、どうしてか私には、この根暗で陰鬱な光景が、いたく魅惑的に見えてしまうんだよ。これぞ「文士の落ちる魅惑の谷底」ってね。

T中
……。

M子
くぅ~~! カッコいいなぁ私! これでこそ文士M子だ! 来年の本屋大賞は私だ~!

T中
うるせえ。ややこしい比喩表現ばっかりしてないで早く話進めろよ。

M子
ああ!? 殴った!? ねえ今殴った!?

T中
そんなことだから受賞歴0ファン0の自称アマチュア小説家なんだろうよ。早く大衆受けする作品を発表してせめてファンつけろよ。

M子
嫌だもぉん! 尖り作品で本屋大賞とって受賞インタビューで今の話するんだもぉぉぉん!

T中
閉店ガラガラ! M子先生の次回作は私が主人公で異世界に転生し悪役令嬢役をこなしながらハーレム構築する話です!

M子
びえええええん! そんな俗っぽい作品書きたくなーい! 扉閉めないでーーーーー!!

 

おしまい

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